夏の暑さは酪農牛群に大きな影響を与えますが、特に子牛への影響は見落とされがちです。暑熱ストレスは、成長期の未経産牛の将来の生産性に長期的な影響を及ぼす可能性があります。子牛が夏の暑さを感じたら、簡単な冷却方法をいくつか実践することで、子牛を快適な状態に保ちましょう。
子牛の体温は周囲の気温によって上下します。夜間の気温が 78°F を超えると、子牛は通常の体温に戻らなくなってしま います。子牛の保育所に扇風機を設置することで、呼吸速度が遅くなり、15% 成長することが示されています(Bateman, 2012)。また、子牛の小屋の上に日陰を設置することで、小屋内の気温を最大 5.4°F まで大幅に下げることができ、涼しくするための労力を軽減することができます。
泌乳牛と同様、子牛も熱波の間は飼料の消費量が減ります。図 1 に示すように、子牛の成長率は気温が上昇するにつれて、飼料 摂取量よりも大きく減少します。子牛は涼しさを保つため、主にパンティングによってエネルギーを消費します。これは、維持のためのエネルギーが増加し、成長に使えるエネルギーが少なくなることを意味します。

熱ストレス下で生まれた子牛の血中免疫グロブリン濃度は、受動的移行障害 (FPT)により低下することが研究で分かっています(Hill et al.)これは、牛が暑熱ストレスを受けると初乳に含まれる免疫グロブリンの量が減 るためだけでなく、子牛がこれらの免疫タンパク質を吸収する能力も低下するためで す。
子牛を低温(23°F)、温度中性(74°F)、高温(95°F)の 3 つの環境で飼育し た場合の比較試験では、高温の環境にさらされた子牛は、温度中性の環境に置かれ た子牛よりも免疫グロブリンレベルが 27% 低く、死亡率が高くなりました。猛暑の地域では、子牛にとってハッチは劣悪な環境です。特に日向にある場合、ハッチに熱がこもり、子牛を冷やすための空気の流れが悪くなります。図 2 では、子牛がカーフハッチのような暑い環境に収容されると、コルチゾ ール濃度が高くなります。コルチゾールはストレスがかかると多く分泌されるホルモンです。グラフを振り返ってみると、子牛の血液中の免疫グロブリン濃度は、コルチゾ ール濃度が上昇するにつれて減少しています。これは、子牛が高温環境による ストレスにさらされると、人工哺乳動物の免疫グロブリンを吸収しにくくなることを示してい ます。

免疫グロブリンレベルが低いと、治療費の増加、泌乳量の減少、発育率の 低下にもつながり、結果として妊娠を遅らせることになります。このような事態を避けるために、暑熱ストレスのある時期に生まれた子牛に初乳サプリメントや代用乳を与え、子牛が取り込める免疫グロブリンレベルを高くしておくことが有効です。
結局のところ、子牛の暑熱ストレスを軽減するための対策を講じることが、長期的 な収益増につながるのです。子牛は、体を冷やすために失われた水分を補うために、1 日に 11 ~ 22 リットルの水を飲むと言われています(Bungert, 1998)。 そのため、子牛に常に清潔な水を与えることが非常に重要です。子牛小屋内の気温を下げる方法として、小屋の上に日陰を作る方法があります。気温を下げるだけでなく、空気の動きも重要で、子牛を蒸発冷却させることができるため、適切な換気を行う必要があります。このような方法と、出産時に初乳サプリメントや補充ミルクを与えることで、子牛は健康で生産的な一生を送ることができます。
マイク・ナガースケDVM
SCCLリサーチ・ディレクター
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参考文献
G.ベイトマン、M.ヒル。2012.「暑熱ストレスが子牛の成長に与える影響Dairy Basics; April
K.Bungert.1998.「子牛も暑さを感じるDairy Herd Management; 35, 5: 15.
T.M. Hill, H.G. Bateman II, J.M. Aldrich, R.L. Schlotterbeck.2012.「ケーススタディ:事例研究:温暖な夏季に従来の代用乳を給与した乳用子牛の給餌率と離乳年齢の影響".Professional Animal Scientist 28:125-130
J.N.スペイン、D.E.スピアーズ。1996."Effects of Supplemental Shade on Thermoregulatory Response of Calves to Heat Challenge in a Hutch Environment."(ハッチ環境における子牛の暑熱負荷に対する補助的日陰の効果)。Journal of Dairy Science 79巻4号。
Stott ら、1975 年。J Dairy Sci.